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小さき命

性懲りも無く、教会に行ってみた。

りすの死体はまだあるだろうか。腐って悪臭を放ってはいないか。ハエがぶんぶんと舞って大変なことになっているのではないか、等と想像するだけで気分が悪くなったが、妙な義務感から確かめざるおえない衝動に駆られたのだ。

 

しかし、りすの死体はどこにもない。それどころか、芝が刈られている。多分今日の午前中に芝刈り機で一気に刈ったのであろう。芝生の先がプッツンと切れていて、触れると痛そうである。

 

まさか芝刈り機に巻かれてりすの死体は木っ端微塵になってしまったのではないか。想像してみる。しかし、どこにもりすの肉片や毛が飛び散った形跡はない。芝を刈る人が、事前に見つけてどこかに処分したのだろう。芝がふかふかの絨毯のうちにりすが亡くなってよかったと妙に納得する。

 

そのあと、この教会の近所にある高級住宅街を散歩する。いつもの散歩コースである。途中、道端でブルージェイの雛の死体を見つける。

 

小さき命はひっそりと生まれ、死んでいく。

 

*教会は『Our Lady Queen of Martyrs"という名称である。